やっと帰化許可が下りた!といっても、この後もまだ手続きがありますので、あともう少しです。
帰化して日本国籍を取得したので、今まで外国人として日本で暮らしてきたシステムから、日本人用にいろいろ変更していくことが必要になります。
帰化許可後の手続きは、期限のあるものから始めて、その他の手続きも徐々にすすめて行くと良いでしょう。
本記事では、帰化許可後に必要な手続きを解説していきます。加えて、帰化が不許可となった場合の対応についても補足しておきます。
目次
帰化許可後の流れは?
帰化申請が許可された場合は、法務局から以下の流れで通知されます。
〇法務局からの流れ
- 官報に氏名と住所が掲載される
- 法務局から本人に帰化許可の連絡がくる
- 法務局より本人へ帰化の通知書が届く
- 法務局に行って「身分証明書」の交付を受ける
※官報:日本国の発行する機関紙。国から広報および公告をおこなうためのもの。
インターネット上でも閲覧も可能です。
法務局からの指定日時に出頭すると「身分証明書」が交付され、受け取った後は、続いて以下の手続きを行いましょう。
- 「帰化届」を提出する
- 「在留カード」または「特別永住者カード」の返納をする
- 国籍離脱の手続きをする
以上の3点は、帰化が許可されたらまず始めにやっておきたい手続きです。これらが完了したら、続いて以下の手続きをすすめていきましょう。
- 日本のパスポートを取得する
- 運転免許証の変更手続きをする
- 各種、名義変更の手続きをする
帰化届を提出する
法務局より交付された帰化の「身分証明書」を持参して、居住地の市町村役場で「帰化届」を提出します。「帰化届」を行うと晴れて日本国籍を取得したことになります。
申請時に本人が15歳未満の場合は、代理で両親が届出をすることができます。また、日本人の配偶者である場合は、配偶者の署名・捺印が必要です。
- 帰化届の必要書類:帰化届書/身分証明書/届出人の印鑑
注意)「帰化届」は、提出期限1ヶ月以内となっています。提出期限を過ぎると罰金が発生する場合もあります。
在留カードまたは特別永住者カードの返納をする
帰化許可が下りたら、「在留カード」または「特別永住者カード」を住居地を管轄する地方出入国在留管理局・支局・出張所へ直接持参、または、郵送で返納します。
郵送での返納先
〒135-0064 東京都江東区青海2-7-11東京港湾合同庁舎9階
東京出入国在留管理局おだいば分室あて
※封筒の表に「在留カード等返納」と表記しましょう。
注意)書類の返納期限は、身分証明書交付の日から2週間以内となっています。期間中に返納しなかった場合は、20万円以下の罰金または5万円以下の過料が科されることがあります。
↓「在留カード等の返納について」の書式はこちらより利用できます。
参考書式:在留カード等の返納について
国籍離脱の手続きをする
日本は二重国籍を認めていないため、帰化で日本の国籍を取得して重国籍となった方は、国籍離脱手続きが必要です。
ベトナム、台湾など、出身国によっては日本での帰化前に国籍離脱が必要な場合もあります。
また、母国の国籍離脱の手続きをしていなかった場合は、およそ2年ほどで母国での除籍は行われるケースもあります。国によってシステムが異なりますので、実際に帰化手続きをする際は、再度確認してからすすめて行きましょう。
気を付けたい点は、母国での除籍が行われていなかった場合は、二重国籍の状態となるため、後々のトラブルにならないように、諸手続きを済ませておいた方が良いでしょう。
国籍離脱の手続きでは、日本の居住地の市町村役場または、外国にある日本の大使館・領事館に「国籍喪失届」を提出します。
- 外国国籍喪失届の必要書類:
外国国籍喪失届書/戸籍全部事項証明書/外国国籍の喪失を証明する書類
では、韓国籍と中国籍の方などの国籍離脱の手続きを確認しておきましょう。
韓国籍の方の場合
韓国の国籍を喪失した方は、法務省へ「国籍喪失届」を提出する必要があります。在日韓国大使館または総領事館へ「国籍喪失届」を提出します。届出を怠った場合は、韓国の登録簿に韓国籍のまま記載が残っているため、後々、相続税の手続きで支障が起こるケースもあります。
中国籍の方の場合
中国国籍の方の場合は、帰化許可申請時に「国籍証明書」を法務局へ提出して、中国国籍離脱の意思があることを法務局に提示します。
中国も日本と同じように二重国籍を認めていない国なので、中国以外の国籍を取得した時点で中国国籍を喪失することになります。
ブラジル国籍の場合
ブラジルでは国籍を離脱することを認めてはいますが、複雑な手続きが必要です。したがって、ブラジル国籍の方は、母国の国籍を離脱しなくても帰化することが可能です。
ブラジルのように制度上、国籍離脱の手続きが複雑、または認めていない国の場合は、居住地の市区町村役場に「国籍選択届」を提出するようになります。
日本のパスポートを取得する
帰化許可が下りて「帰化届」を提出すれば、後は自動的に戸籍に記載されるため、日本のパスポートの取得もできるようになります。
戸籍が作成されたら戸籍謄本を入手して、日本のパスポートの手続きを始めましょう。
パスポート申請先都道府県ホームページへのリンク
- パスポート必要書類:一般旅券発給申請書/戸籍謄本/写真/本人確認書類
運転免許証の変更手続きをする
運転免許証をお持ちの方は、本籍地の記載された住民票を持参して、免許証の裏面に帰化した事実について記載する手続きを行います。
最寄りの警察署か免許センターで変更手続きができます。
運転免許証の変更が済んでいれば、パスポート申請に必要な身分証明書として利用することもできます。
- 運転免許証変更の必要書類:住民票/免許証/印鑑
各種、名義変更の手続きをする
その他の手続きとして、不動産、銀行口座、クレジットカード、賃貸契約、携帯やネット契約、会社の謄本関係、各種公共料金などの名義等変更も必要です。帰化する前の氏名が書かれているもの全てに該当します。
これらの手続きには、特に期限はありませんが、できれば早めに済ませておいた方が良いでしょう。
帰化が不許可となった場合はどうする?
では、もし帰化が不許可となった場合は、どのような流れになるか?解説していきます。
帰化が不許可の場合、法務局から「不許可通知書」が本人宛に届きます。「不許可通知書」には、帰化申請を不許可と決定した旨が記載されています。
不許可の理由については特に記載されていないため、管轄の法務局に聞いても明確な返答は期待できないでしょう。
帰化が不許可となった場合は、再申請も可能ですが、まずは不許可になった理由を解消することが先決です。
再申請を行う際は、不許可の理由について検証してもらうために、行政書士の方と相談しながら、再度チャレンジするかどうかを検討して行くと良いでしょう。
まとめ
帰化許可が下りた後も、各種手続きが必要です。特に「帰化届」の提出と「在留カード」または「特別永住者カード」の返納は、早めに済ませておくと良いでしょう。
国籍離脱の手続きについては、二重国籍のトラブルにならないように、母国の除籍について確認するようにしましょう。
また、各種、名義等変更などは、日本での生活がスムーズにできるように、少しづつ身辺環境を整えていきましょう。